はぐくむ

ちいさな いのちをはぐくむ ちいさな日記です

子宮頸がん検査

母子手帳をもらうと、検診の助成金が付いた券が付いてきます。
1回目は通常の尿検査、エコー、に加えて血液検査、子宮頸がん検査がもれなくついてきます。
各自治体で違うのかもしれませんが、わたしの住む地域ではどの妊婦さんも受けられます。
検査率が低い日本はこういうシステムになっているのですね。

血液検査は何度か受けた事がありましたが、子宮頸がん検査ははじめて。
「では、お隣の部屋で下着を脱いで、診察台にお座りくださいね〜」
優しく看護師さんがうながしてくれました。

きました、診察台に座る日が…。

今さら恥じらいとかを考える年齢でもないのですが(経産婦ですしね)、慣れないものです。何度経験しても。慣れるものでもないのかもしれませんが。
スタイルがね…。
上半身はそのままで下半身だけスッポンポン。上を脱ぐ必要は全くないので、当たり前ですけれど。
診察台は足の位置があらかじめ指定されています。足の位置が強く指定されている椅子なんて、足マッサージチェアー以外思いつきません。
軽くはありますよね、美容室とか歯医者さんとか、この辺にどーぞーって感じで。
その範囲なら多少の自由が許される程度の指定位置。
椅子に座る時は、足閉じて!学生の時、女性の先生からよく注意されました。わたしも娘たちに注意します。
診察台はその全く逆の位置に 足ここ! と主張してきます。
仕方なく、しぶしぶ指定の位置へのせて座ります。ちいさな覚悟がいります。ある助産師さんが、女は覚悟をしなければならない時がいくつかあるわよね〜。とおっしゃってたのを思い出しました。
仕方ないのです診察ですからね。わかっているけど、とてもやるせない気持ちになります。
そんな椅子もめったにないとおもいます。


はじめて座った時は若かったので、かなりの衝撃でした。
子供を産むことへの美しいイメージや淡い幻想から、一気に現実へ引き戻されたようでした。
出産とはどんなものなのか、無言のメッセージを感じました。
生々しく美しい。動物的で神秘的。診察台に座ることが、これからはじまるいのちをはぐくむことへの儀式のようでした。

無事⁈座ると、横に90度、上に‼︎90度回転します。こうなったら、まな板の鯉です。
恋の後は鯉です。
なるべく今、自分がどんな姿勢になっているのか想像しないようにします。
自分の中からイメージとかシュミレーションとかそういう類の言葉を一切遮断します。
何も考えない貴重な時間です。

カーテンの向こうから、さっき会ったばかりの先生が姿を見せることなく声をかけてくれます。
「ちょっと筋腫があるからね〜。」「うーん…」
なんだかやりずらそうにしているのが伝わってきます。
見ていませんけど、先生の眉間にはシワが寄っていました。首も何度か傾げていました。
見ていませんが。
「ちょっと、がんばってね〜」カーテンの向こうから励まされます。

がんばって⁉︎

この状態、この姿で何を、どこを、どうがんばればいいのかさっぱり分かりませんでしたが、とりあえず気持ちはがんばることに徹しました。
まな板の鯉になりきっていました。

無事⁈に検査終了。

すっかり疲れきった午前中となりました。