はぐくむ

ちいさな いのちをはぐくむ ちいさな日記です

誕生 終幕

目が覚めると身体が小刻みに震えていました、自分の意思ではどうすることもできずそれはだんだん大きくなって私の身体を震えが乗っ取っていきました。
不安と恐怖が一気に襲ってきて、目の前もぼんやりスモークがかかっているようでした。

身体から剥がされるような感じがして、ふわふわ。
どこにも行かないように、迷子にならないように手をつないで欲しくて、左手で誰かの手を探していました。ちゃんとつかまえていて欲しくて。

左手がナースコールに触れたのでしょう
いそいそと看護師さんがきてくれました。毛布をかけてもらい、先生呼びますね。と肩に触れてもらいました。

ここまでは、ぼんやり覚えています。
なんだか慌しい空気を感じながら、何人かの声を遠くで聞きながらまた深い暗い底にゆっくり沈んでいきました。




眠りから目覚めさせてくれたのは、小さな星の下の王子様。
透明の宇宙船 の中で黄色いガウンに包まれ、まだ何者でもない真っさらな命がスヤスヤ眠っていました。

私はしあわせだと心から思える。この子をしあわせにしたいと心から思う。
それが本当にうれしくて。うれしくて。

生まれたよ。

まだ、ふわふわ感が残ったまま、知らせを待っているであろう方にやっと届けることができました。

手術から12時間。再び彼の頬に触れて、小さな小さな手が私の指を握った時。
迷子にならないで帰って来れた。とほっとしました。


ありがとう。


この言葉をかけてもらったことが、この日まではぐくんできたことをきらめく宝物にしてくれて、これからはぐくむことへの勇気を注いでくれました。

小さな優しい時間に生まれた奇跡はいま力強く生きています。


ありがとう。