命名
生まれたての命は透き通る湖のような目を開いて、お母さんはこんな顔をしていたんだね。
ぼくのことをよろしくね。
と語りかけます。
そのシワシワのおててが、あんよのなんと愛おしいことでしょう。
胸に抱くと何の迷いも疑いもなく、身をゆだねて微笑みをうかべます。
命はまだ「赤ちゃん」と呼ばれていて、何者でもない時間を過ごしていました。
アマゾンの奥地に生活する ヤノマミ族 の女性は出産した我が子が、人間なのか精霊なのかを母親自身が決めます。
人間ならば育てるため抱いて森から家へ連れてかえります。
精霊ならばバナナの葉に包み木に吊るして森へかえす。
赤ちゃんはみな精霊として生まれてきて、なまえをつけることによって人間として生きていくようになるのだと思えてなりません。
なまえの力が加わることによって、生きていく色や響きスピード感とか、そういうその人独特の雰囲気がはぐくまれる気がするのです。
離れることのないずーっと纏うベールのような…。
わたしはそんな大層なものようつけられませ〜ん!
ってことで、この責任はお父さんに擦りつけることにしました!
テストに書くのが長い。とか 呼びにくい。とか 変なあだ名つけられた。などのクレームは一切受け付けずに ああ〜お父さんがつけたからね〜 で逃げ切る作戦です!
生まれてしばらくして、つよくてしなやかなベールをかけてもらいました。
そうしてもらえたことがとても嬉しく幸せでした。
彼はこれからどんな色に染まるのか?どんな響きを聴かせてくれるのか?
楽しみでなりません。
素敵ななまえをありがとう。