はぐくむ

ちいさな いのちをはぐくむ ちいさな日記です

おかげさまで。

舞台や芸術にかかわるお仕事をさせていただいています。

 

昨日はお仕事で30人ほどの子供達と触れ合う時間がありました。

発熱と吐き気で体調が悪く、1時間遅れの楽屋となっている稽古場入り。

全くこんなこと初めてです。

外は冷たい雨でどんよりムード。わたしの身も心もたっぷりどんよりに浸ってしまっていました。

今回は絵や書道、音楽など様々なアートの集まりの中で子供達とのダンスワークショップ。その後の短い作品に携わりました。

床に毛布を敷いて横になる場所を確保し、お弁当にも手をつけられず、うーっとうなりながら時間まで過ごしていました。

スタッフへの挨拶、段取りの確認、などなど済ませなければならないことをしようと立ち上がると、メンバーがこれとこれは済んでます。と報告してくれました。

 

なんと!

ありがたい。もう、やることはないんじゃないかと思いながら、椅子に腰掛けておりました。

オープニングは書道家さんの書き初めパフォーマンスで幕開けでした。

この方はお身体がご自分の意志で自由に動かすことができず、3人のサポートする方に支えてもらいながらお書きになります。

書きたい!と表現する人と書かせたい!と表現する人との息のあったダイナミックな書。

飛ぶ   とお書きになりました。

今年はぶっ飛びたい!とのこと。

1人でできないことも誰かに助けてもらうことで実現する。

そこには決して恥ずかしいとかネガティヴな要素はひとつもなく、信頼や尊敬が輝いていました。

わたしは自分がやらなきゃ!と意気込んでしまう、頑張ってしまう意地っ張りの捻くれ者なので、支えて合う、頼り合うことへの許しをもらった感じがしました。

 

妊娠や出産、その後の子育ても1人では出来ないのです。

誰かと触れ合うことで、誰かに頼ることですくすくはぐくんでいける。

 

おかげさま。

という日本語があります。神様や他人から受ける恩恵の意味「お 陰」に「様」をつけた言葉です。

20代の子育ては、自分が頑張っている感をたっぷりおもてにだしていた気がします。

30代では少し力が抜けて、いい加減がわかりつつありました。

40代での子育てのチャンスをいただいて、もっと頼って、もっと甘えて、もっと支えてもらおうと 「飛ぶ 」の書を見ながら思いました。

 

あなたのおかげさまで。とたくさん言えるような子育てをしたいと思います。

そして、わたしも誰かに、あなたのおかげさまで。と言ってもらえることができたらいいです。

 

長い1日を終えて、劇場を後にする頃もまだ、冷たい雨は降り続いていました。

頬にあたる空気は朝とは違う、凛とした空気に変わっていました。

 

 

 

 

 

 

 

期間限定

久しぶりの更新となりました。

 

気がつけば新年を迎えております。

昨年の秋から土日もたっぷりのスケジュールで、ややオーバーワーク気味でした。

それが原因なのか、妊娠後期にきての貧血が原因なのかわかりませんが、年末年始のお休みに入ると体調がガタガタ悪くなり、横になっていることが多い日々でした。

今まで感じた事のなかった、動悸や息切れがして年齢を感じると同時に、「頑張る」という言葉を一旦自分から剥がす作業をして過ごしました。

 

それがよかったのか、ゆっくりのんびり過ごすことがいつの間にか下手になってしまったのか?

仕事が始まるとすっかり元気になってしまいました。

ありがたいことに、小さな命は無事にすくすく育っており、順調に33週を迎えております。

おなかがとても大きくなったようで、先日はコンビニの店員さんに「双子ですか?」と聞かれてしまいました。

わたしのおなかは過去5回の経験を積んでいますので、ずいぶん伸縮性に富んでおります。助産師さんも子宮底を2度測ってしまうほどです。笑

職業柄、日頃から身体を動かしているのでやや細身でもありますから、おなかだけが目立ってしまうのかもしれません。

よく、前にせり出すと男の子。と言われますが、確かに今のわたしのおなかは前にとんがっております。

先日、通りすがりの男性に「もう直ぐですか?」と聞かれたので、「ハイ」と答えたら、自信たっぷりに「男の子ですよね」と言われ驚きました。

「どうしてわかるのですか?」と今度はこちらが尋ねると、3人の男の子のパパさんで奥様が妊娠されてた時の感じとそっくりだったようです。

おなかの形で性別がわかる。案外当たっているのかもしれませんね〜!

 

そんなこんなで、出産も近づいてまいりました。

赤ちゃんも最近は、狭そうにごにょごにょと動き回りやや痛いぐらいの胎動を感じています。

ギリギリまで仕事を続けるつもりですので、毎朝、おなかに「今日もよろしくね」と声をかけるのがすっかり日常になりました。

期間限定の妊娠生活。

小さな命をおなかではぐくむ時間も残りわずか。今しか感じられないことを、今だから感じることを残しておこうと思います。

 

妊婦さんになると多くの人の優しさ、サービス⁉︎ に触れる機会をいただきます。

スーパーで買い物をしたら、たいてい袋詰めをしてもらったり、買い物かごを運んでもらったり、お車までお運びします!なんてサービスも受けます。
駐車スペースも入り口に近いところが確保してあり、優しい世の中だなぁと感じるのです。
妊婦さんの時は。

しかし、わたしの経験上、無事産んで赤ちゃんを連れての買い物。よちよち歩きのころ、カートから降りたがる子を騙し騙ししながらの買い物。2人の小さい子を連れての買い物の方がよっぽど大変でした。
袋詰めのすきにどこかへいなくなっちゃうし、カートを車の近くに運んで、赤ちゃんを下ろし、荷物を詰め込みカートを片付けに行く。
キャリーで前抱きしながら、下の方の商品を取ったりするのは大変。
ベビーカーを押して進む田舎道は、ガタガタで進み難い。
そんな時、優しい世の中だなぁなんて思う機会はさほどにありませんでした。
優しい人はおります。
助けてくださる人もおります。
でも、妊婦の時よりはるかに社会の目は厳しくなることを感じます。

あらあら。と向けられる視線は、上手くいかない自分を責められている気にもなります。
はじめてのお母さんになったときは、ヘトヘトになって買い物をしていた記憶があります。

出産後、赤ちゃんや小さい子どもを連れたお母さんにこそ、もっと声をかけていただき、優しい世の中であってほしいとおもいます。






おなか触ってもいいですか?

7ヶ月になって、おなかもなかなか立派になってきました。
誰がどこから見ても、妊婦さんです。

最近、一緒に仕事をする20代の男の子が 「おなか触ってもいいですか?」
と、ちょっぴり恥ずかしそうに言ってきました。
妊娠は期間限定なので、今しかできないこと、今しかしてあげられないことを大事にしようといつも思っています。ですので、触りたい方には、どうぞどうぞとおなかを差し出します。
直接じゃないですよ!服の上からね!

その男の子にも、どうぞ。と伝えますと、でわ!一瞬拝むような間を開けて、おそるおそるおなかに手を当ててくれました。でも…。
そこ、胃だけど…。と言いながら、わたしは彼の手をちょうどおへそのあたりへ誘導しました。

なんかいいですね〜。ここに命があるのですね〜。
頬を緩ませ、目尻を下げて、照れくさそうにでもしっかりおなかの赤ちゃんを感じているようでした。
彼のゆるんだお顔にわたしもほっこり。

赤ちゃんって本当にすごい!
新しい命はそれまでの迷いや不安を一気に吹き飛ばして、周りの空気までも淡いクリーム色に染めてしまいます。
抱く人の頬を微笑みに導いて、その眼を透明によみがえらせてくれます。
おなかにいるときから、大きなエネルギーを発しています。

いのちをはぐくむって本当に幸せなことです。
わたしもおなかに手を当てて、来てくれてありがとう。と小さくつぶやきました。

もうすぐ会えます。ちいさなあたらしいいのちに。

扉を開けるまで。

ついこの前までおなかにいて、トイレまで追っかけていつもくっついていたのに。

今日は大切な子の1人が自分で選択した道への挑戦日。
1人で出かけて行きました。 
まいにちおっぱいをあげて、おむつを替えて、手をつないで歩いた日がとても愛おしく感じます。
手を離れていく嬉しさと寂しさがごちゃまぜにやって来た感じです。

つないだ手をスーッと離して、無邪気にブランコへ走っていく時も、振り払ってドカドカ目の前を過ぎていった時も、じゃね!と笑顔で出かける時も、ああ。後ろから見守ることしかできないなぁ〜と思ってきました。

自分の手で扉を開けようとしている時、その後ろ姿がきらきら輝いているように。
開ける術をいろいろためすことが出来る知恵を持てるように。
扉の前に立つ勇気があふれるように。

ただただ、わらって見守ること。

はぐくむってそういうことなのかもしれません。



逃げ回る胎児くん

このところ休日も仕事や学校行事で忙しかったので、月曜日だけどお休みをして、妊婦健診へ。
産婦人科は心地よい照明と音楽が流れ、淡い色の壁紙はふんわり暖かい。
掲示してあるポスターやマタニティーヨガ、母親学級の案内は、集中して読むにはいい具合の文字の大きさで、急かされず待ち時間もちょうど良い混みようだったので、自然にウトウト…。
しばらくの間、リラックスタイムを過ごしておりました。
わたしは…。

そんなことはお構いなしに、おなかの中では、元気アピールをここぞとばかりにしてくる胎児くん。
はいはい。よしよし。と、おなかを撫でてみますが、一向に収まらず。
洋服の上からでも、おなかが波打つように動いているのがわかるくらいにヒートアップ。
元気いっぱいなのか、お調子者なのか…。
親の心子知らずは、すでに始まっていると苦笑しながら、わたしも半ばムキになってリラックスしていました。

呼ばれて助産師さんが待つ診察室へ。

まずは恒例の体重測定。横で数字を睨む目にビクビクしながら、そっと乗ります。
べつに、そっと乗っても勢いよく乗っても自分の体重が軽くなるわけではありませんが。
 相変わらずの右肩うなぎ登り。営業マンか会社経営者だったら、どんなにうれしいことでしょう。
と、毎回同じことを思ってしまう自分にがっかりしながら、逃げるように体重計をおりました。
洋服の分の500グラムを差し引いて記録してくれることを、親切と思わず、恩着せがましいと思ってしまうのは、わたしのねじれた性格なのでしょうね。

今日は赤ちゃんの推定体重を出してみますねー。の声に ほほうー。と感心しながらエコーの画面を見ていましたら、動く動く。頭は容易に測れたのですが、胴体、大腿骨を測るのに助産師さんはあららっと若干手間取っておりました。
しかし、相手はプロと機械ですから、胎児くんに勝ち目は無く⁉︎
推定体重 971g。
ちょっと大きめかな〜。との評価付き。

続いて心音を。
エコーでしっかり胎児くんの位置(只今逆子)を確認済みの助産師さんは、迷わず狙った場所で見事キャッチ。
涼しい顔で聴く助産師さんの顔が曇ったのは、20秒ほどたった時でした。
ゴゴゴゴーっと音がしたかと思ったら、心音は聴こえなくなりました。
逃げた!とは言わなかったけど。
その後、まるで迷子を探すように助産師さんの手は、わたしのおなかの上をしばらく駆け回っていました。
上手く逃げたようで、心音が見つからず再びエコーで確認。
おなかの上の方で知らんぷりしている(かどうかはわかりませんが)胎児くん発見。
はーん。そこにいるのねっと助産師さんがニヤリ。
再び心音をキャッチして観察する助産師さんは、逃げるなよーっと念力を送っているようでした。
もう少しってところで、またまたゴゴっと音がしましたが、そこはプロ。
逃がすものかと、すかさず手を動かして心音を離しませんでした。

順調に育っている様です。

チャンチャン。

こころ

なんて激しく美しく儚くやさしい愛にあふれているのでしょう



こころ

わたしのこころは湖水です
どうぞ漕いでお出でなさい
あなたの白いかげを抱き
玉と砕けて
舟べりへ散りましょう

わたしのこころは灯火です
あの扉を閉めてください
あなたの綾衣の裾にふるえて
こころ静かに
燃えつきてあげましょう

わたしのこころは旅人です
あなたは笛をお吹きなさい
月の下に耳傾けて
こころ愉しく
夜を明かしましょう

わたしのこころは落ち葉です
しばしお庭にとどめてください
やがて風吹けばさすらひ人
またもや
あなたを離れましょう